今更ながら箱根の感想等をする。Part1

http://www.ntv.co.jp/hakone/85/sokuhou/index.html

今年の箱根は脅威の新人柏原を擁する東洋大学が初優勝を飾った。今回のレース前に不祥事で調整遅れが指摘されていただけに、優勝は難しいとは思っていたけれど、柏原一人で全てひっくり返してしまった。逆に優勝候補筆頭の駒澤大学は深津の欠場で歯車が狂ったようにシード落ちしてしまった。優勝候補の早稲田は2年連続の2位に終わった。往路の流れを柏原一人で断ち切られたのが大きかったように思う。今回の箱根は、一歩間違えば転落する戦国駅伝の怖さと駅伝の流れの大切さを改めて認識できた大会だった。各大学について簡単に感想等を書いてきます。

優勝:東洋大学
若松8位-山本17位-大西3位-宇野9位-柏原1位
富永12位-飛坂1位-千葉2位-大津2位-高見6位

初優勝を飾った東洋大学だが、4区までは良くも悪くもない状況だった。大西が2区を走れず、3区でタイムを稼いだものの、4区までは前年以下。その流れを一気に変えたのが柏原だった。
従来の記録を1分近く塗り替えるというのも大きいが、序盤から突っ込んでいく攻めの姿勢が復路の選手達の流れも作ったんじゃないかと思う。そして、復路の選手達もその流れを切らさない走りが出来ていた事が勝因。ライバルの早稲田大学の復路は逆に自分で何とかしてやろうと個人プレーに走ってしまい、駅伝の流れを作れてない感じだったのと正反対の、しっかりとした駅伝だった。
しかし柏原の存在は強力すぎw前年の釜石のタイムより6分以上も早い。単純に前年のタイムを4区までのタイムと足すと、往路は10位相当だった。もしも柏原が入学しなければシード争いに巻き込まれたかもしれない。今まで東洋は山が弱すぎて優勝候補ではなかったが、これだけ山でアドバンテージを作れるなら、柏原が卒業するまでの3年間は優勝候補として箱根を沸かしてくれそうだ。ただ卒業生がエース区間を走っていただけに、柏原の代わりにエース区間を走れる存在が出て来ることが前提かなと。

2位:早稲田大学
矢澤1位-尾崎7位-竹澤1位-三田1位-三輪13位
加藤7位-八木2位-中島8位-朝日5位-三戸3位

往路4区までは満点に近い出来だった。竹澤は2区を走れなかったものの、1区からの流れを尾崎が切らさなかった事は大きかった。竹澤は力があるランナーだから下位でも区間新を出しただろうけれど、三田は先頭が見える位置で襷を貰わなかったら、そこまでのタイムが出なかったように思う。
ただ5区が・・・駒野の穴が埋めきれなかった。適性よりも走力に期待して三輪を起用したのだろうけれど、スペシャリストを養成していれば往路優勝を果たせて、その流れで総合優勝も出来たと思う。往路で東洋に遅れをとってしまった事は復路の流れに悪い影響を与えてしまった。さっきも書いたけれど、各選手が入れ込みすぎで突っ込んでしまい、冷静な走りが出来たのがアンカーの三戸くらいしか出来なかった。先頭を走っていれば先手を握ったレース展開が出来ただろうにそこが惜しかった。
来年以降は竹澤が卒業してしまう穴は大きい。ただ1区・2区・4区は健在で5区はタイムが悪かっただけに、3区+5区のセットで竹澤の穴を埋められれば往路優勝出来るんじゃないかと思う。後は今回の箱根の反省点を生かして落ち着いて走れば、層が厚い大学だけに優勝の確率も高くなるんじゃないかと思う。有力新人も補強できているようだし、個人的には来年の本命かな。

3位:日本体育大学
出口6位-森12位-野口拓4位-久保岡6位-竹下3位
高尾15位-奥村11位-長尾5位-野口12位-永井1位

予選会4位から大きく躍進した日体大。ポテンシャルはあったが調子の波の激しさが課題だったが、各選手がしっかりと繋ぐ駅伝をしたのがこの好結果に繋がった。その中でも竹下の5区3位には驚いた。以前5区を走っていたエースの北村のタイムよりも1分以上も早く登るとは予想外。1年から山登りを準備してきていたそうで、ようやくその実力を発揮した感じ。しかしこうした結果を見ると竹下が3年間出られなかったのは悔やまれる。保科や北村が健在なときに竹下が5区を担当していたら優勝の可能性もあったんじゃないかと今更ながら思ってしまった。
それと今年も1位と4分差しかなかった事を思うと、石谷・谷野・岩嵜が出ていればなぁと思ってしまった。まぁたらればを言えば早稲田も高原が出てればなぁという感じなんだろうけど。
来年に向けては5区・7区・9区・10区が抜けるだけに結構苦戦しそう。とにかく主力4人までは強いので大崩れしないだろうけれど、つなぎの区間を今回のように凌げればシードはいけるはず。ただ、1年生に有望株がいないのと、新入生で期待の福士がどうも長い距離に不安があるのがなんとも。今回みたいな山登りのスペシャリストが登場する事を期待かな。

4位:大東文化大学
宮城9位-清野19位-井上5位-佐藤歩16位-下條5位
佐藤匠1位-若狭8位-土田16位-久保7位-木村11位

予選会からシードに入った大学で一番驚いたのが大東文化大学だった。戦前から山は強いと言われていたけれど、奈良新監督効果なのか、山だけでなく平地も十分戦えるようになっていた。流石に2区は仕方ないとして平地で4区間も一桁順位を記録すれば十分。その中でも3区井上が果たした役割は大きい。
2区が弱いだけに3区以降が踏ん張れなくては、山で取り返しが付かない大差が出来てしまいかねなかったが、流れを変えて、勝負できる位置に踏ん張ったおかげでシードを得られたんじゃないかと思う。山でタイムを返済して終わるんではなくて、貯金も作れたおかげで、復路の選手も余裕を持って走れて好結果を生む事が出来たと思う。
来年は今年の箱根のメンバーから山登り下りを含む5人が抜けるので苦戦は必死だと思うけれど、奈良監督のノウハウでスペシャリストを育成できれば面白い。来年もサプライズを期待!

5位:中央学院大学

鈴木11位-木原3位-小林15位-大谷8位-辻4位
渡部8位-三浦14位-大野17位-堀16位-木之下14位

木原最終学年を5位という形で締めくくれた。木原自身は体調不良で満足いくタイムではなかったようだけど、他の4年生もしっかりまとめ、初の2年連続シード権を獲得した。
全体的な内容としては区間順位が悪い選手が多かったが、ポイントとなる2区・5区で貯金を稼げたのがとても大きかった。辻も実力者だがこれだけ走れるとは思っていなかった。それに鬼門の6区で準エース渡部を使って復路が良いスタートを切れたのもシード獲得には大きかったと思う。
ただ、来年は大変厳しいレースになる事が予想される。4年生が結果を残したが、下級生で思うような結果を残せた選手がいなかった。今後の課題としては2区を凌げそうな選手の育成と、例年苦手な山のスペシャリストの育成。特に山は持ちタイムが悪くても適性で何とか走れることが多いだけに、予選会が無い強みを生かして育成したい。来年は正直シード獲得は厳しいとは思うが、無名選手を伸ばすのに長けた大学だけにこれからの1年間に期待かな。


今日は5位までで。明日以降になんとか続きが書ければなぁと思います。